序章 世界に選ばれたのは人間だけにあらず

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人間は進化の過程において'知恵'を身につけた。 '知恵'は人間に火の使い方を教えた。 '知恵'は人間に物を作ることを教えた。 '知恵'は人間に<生きる術>を与えた。 人間も一種の生物である。多くの生物が人間が持つ'知恵'を欲した。 ある生物は人間の真似事をした。 ある生物は人間と共に生きようとした。 ある生物は捕食により'知恵'を奪おうとした。 人間は抗う術を考えた。理不尽な力から自分たちを守るために… 人間は'知恵'に問うた。”自分たちを守るための力が欲しい”と… 優しく愚かな'知恵'は答えた。それが愛すべき人間のためになると考えて… 人間は抗うために鉱石を求めた。 -しかし、人手が足りない。ならば共に歩む生物にも集めさせよう- 人間は憎しみにより鉱石を加工する。憎しみは鉱石と混ざり合い鋭き剣となる。 -憎しみにより生み出された剣は狂気を生む。ある者は大事な人を守るために…ある者は富を得るために…ある者は支配するために…ある者は快楽を生み出すために…- 人間の憎しみは絶えない。終わりなき憎しみはさらなる力を求める。 -剣ではなく銃を…銃ではなく爆弾を…爆弾ではなくおぞましく混沌の生物を…狂気に飲まれ続けた人間は生物の断りすらも捻じ曲げた- 多くの生物は後悔した。人間に近寄るのではなかったと…人間に手を出すべきではなかったと…自分たちの欲が人間に混ざってしまい、狂わせてしまったのだと… 人間は良くも悪くも純粋な生物だったのだ。だからこそ'知恵'は人間を愛した。しかし、甘やかしし過ぎたのだ。 '知恵'は悔いた。嘆いた。泣いた。哀れんだ。様々な感情が'知恵'に流れた。そして、1つの解を導き出した。 その後、人間の大半は1つの大陸ごと滅びた。
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