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――私は姫梨の顔を見て俯く、そして無言のままにその場を走り去った。訳さえ判らない、魔操とか聞き慣れない言葉にただ困惑とするばかりだ。ふと、昔に小学校で前にもこんな風に悩んだ事を思い出す。あれは、最上級生六年の秋。何気無い日常が音も無く崩れた瞬間だったのかも知れない、其れはあまりにも残虐だった。
街道には街で取り組まれ、植えられた数年前の苗が木々に育ち、秋模様を見せるように紅葉し始めていた十月中旬。最上級生として、六年は各クラス新入生を迎える準備をしていた。だがそんな大事な日の前日、生徒が行方不明になってしまう。
確か、私のクラスでは三人が登校していない。其が颯だ、後は名前さえ知らない為に正確には覚えてなかった。担任教師は、虐めかと疑っていたが実際はそんな事がある筈も無い。何故なら、彼等は他人には興味を持たない引きこもりだった。
(あの小学校、未央が引っ込み思案だから。私が着いていたのよね……)
結局その話しは、一週間後にニュースで報道された。まさか学校側がマスコミの威勢に怯え、長らく隠蔽していた等と誰が納得するのだろうか。あの時は、教室さえ一時閉校となった程だ。
「 馬鹿みたいっ、何で今、思い出すのよ……」
未央の事は、忘れたくは無い。けれどだからと言って、この場で感傷に耽っていさる何て関係無いし無意味だ。死んだ人間は、ただ消えてしまうだけに過ぎない。なので考えても、どうしようもない。 姫梨は他人で、妹は血縁のある家族だ。
特に何等変わり無い、日常が少し崩れて壊れただけ。結局の所は私も、知人は所詮位にしか思っていなければ大して心配さえしていないのかも知れない。 けれど何かが違う、颯にだけは不思議と素直になれる。 単に友達、だからなのだろうか。
上の名前は、確か天木(アマキ)だった。彼はクラスでも評判の、孤独な少年と言う肩書きがあって、昼休みになると必ず一人で屋上に上がって行く習慣があった。一体何をしていたのか、今思えばそこに秘密があったに違い無い。
「っ、早く。帰ろう……」
「出口何て、無い。此処は閉ざされた古城、そしてコアの中心」
「い、いつの間に居たの?」
「さぁ、分からない。私はコア、記憶は唄だけが出きる。そもそも記録する思考は持ち合わせない」
「定義単語ばかりね、正直がっかりだわ。でも、其があなたの個性なら、仕方無いのかしら……」
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