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泣き笑いながら、そう呟くと同時にふわりと、暖かな温もりを感じた。私は颯に抱きしめられている、その事態に気付くと咄嗟に羞恥して思わず顔を背ける。だが彼は躊躇う様子も無く、割れ物を扱うかのように優しく腕の中に自分を包んでいた。こうしていると、不思議と気分が落ち着いて行く。
恐怖に駆られ冷えた身さえ、徐々に体温が正常に戻っているのが分かる。しかし、代わりに鼓動が激しく脈打つ。多分、緊張からだろう。それとも別に他の心境に陥ってしまったのか、はたまた良く判らない、なのに自然と安堵して行く自身に妙に安心感を抱く。
これは、好き。と言う想いなのだろうか。其さえ曖昧で良く知らない、周りから見ても、引っ込み思案で何時も怯えている風に思われていたと思う。臆病者であの日も、未央を救えなかったのだからきっと、相当に私は弱者だった。妹とは違って身体も弱く、何時も病弱で悩まされていた。そして結局、訳もわからずに死んでしまった。
「急に病気になって、怖い。だから私はこの場所に逃げて来たの……」
ノットワールド、異なる世界に居る。私は健康なのかも知れないと、現実からの離脱にはかなり躊躇するものもあった。けれど全てが幻だとしても、夢の中からは目を覚ましたくは無い。眠り姫と呼ばれる意味を思い出した今、自分はこの居場所に君臨する。
夢は自由自在だ、だからこそ在り続けた。絶望も希望も無い、それこそ無の境地で新たなる幸せを見出だした世界で私は生きると決めた。何も存在しない、生き物は死ぬ事もない夢の中で、ただ生きて足掻く。現実何てつまらない、満ち足り過ぎた物だからこそ苦しいならいっそ虚無になれば良い。
「大好き、だからこそ嫌いよ。私はもう帰らないの、此処で生きるって決めたから……」
眠り続けたら、滅ばずに成長さえ止まったままになるのだろうか。永久に生きたい、この広い世界が沢山と見たい、だがこの先に未来何て無いのかも知れない。世界の寿命か、自身が死ぬのが最初か時々に私は考える。
「両親が心配してるのに?」
「それでもっ、私は死んじゃうかも知れないの。だから帰りたく無い、未来何て無いんだから……」
「立ち向かおうとは、思わないの?」
「所詮、私は死んじゃう運命なんだ。けど本当は、生きたいよ。でも結果何て見えてるから。知るのが怖い……」
「分からないな、言ってる事が矛盾してないか?」
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