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「失礼するわ」
少女も侍女と同じように無機質な言葉を紡ぎ、そこから退出する。
カツカツカツ
ヒールのピンが大理石の床を殴りつけるのだった。
「本当にあのわがまま娘は相変わらずね。今の王位継承権が最も高いからと調子に乗っているんじゃないかしら!」
「そうですね、最近酷くなってきています。やはり王にご相談した方が良いのでは…」
いわら立ちを露わにした侍女たちの声が少女に聞こえてきたが意に返さず、歩みを進めるのだった。
「何が王位継承権よ、何が王よ…」
少女の顔は怒りから呆れの表情になっていた。何が悲しくてこんな国を継がなければいけないのか、こんな国に価値はあるのか、国に付き従えている従者に価値はあるのか、さっさと滅んでしまえ。これが少女の本音だった。
しかし、彼女にも数人だけ心を許せる者がいた。
「エリス様~いやぁやっと会えましたよ!エリス様とあえない時間は俺にとって灰色で虚無で無意味な時間でしかありませんでしたよぉ!」
この多弁なレウスこそエリスと呼ばれた少女が心を許せる者の一人。彼は過去にエリスより救われたことがあって彼女の命令には絶対服従していた。そして、溺愛していた。
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