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「あ、雨あがってる!」
「もう随分前に止んでたよ?」
「えいっ!」
「傘なげないでよぉ」
他愛なくはしゃぐ彼女たちを尻目に、「知らないからああやっていられるのだ」と、私は心中毒づいた。
この空間は、核戦争で世界が壊れる100年前を再現したバーチャルリアリティ。
私は己の肉体を置き去りに、精神を移行するに唯一成功した検体108-E。
プロジェクトの責任者にして、最終被験者にして、恐らく人類最後の生き残り。
「―――偽物だ」
私は嘘みたいな真っ青を見上げ呟いた。
林、畦道、田園に暮らす蛙や鯲、点々とする民家、笑い合う彼女たち、そしてこの空すらも。
所詮、私の創りモノ。
だというのに、
「以前より生きてる心地がするのは何故だろう」
からりと晴れた蒼空が、私の瞳を濡らす。
この偽りばかりを包む宇宙(システム)が眠るまで、あと510,019,701秒。
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