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珍しく甘えてきた皐月と2人
狭いベッドの中
振り向けばすぐの所に皐月は居るのに
それでも背中を向けてるのは
振り向いたらもう、抑えられそうに無いから。
必死に寝たふりをして理性を死守する俺の背中に
「先生、俺ね?」
控えめに響く、皐月の声
「ずっと、好きだったんだよ。」
この瞬間に、決心したんだ。
合宿が終わってすぐに辞表を出した。
これで晴れて、先生と生徒じゃなくなる。
本当はすぐ迎えに行きたかったけど
無職のまんまじゃかっこ悪いから
次の就職先探してからって決めた。
8月中はここに居ると、カケルに伝えたけど皐月は来なかった。
「まあ、来ないとは思ってたけど」
荷造り中でガランとした部屋に虚しく響く独り言。
考えないようにしていても
貸してやった部屋着とか
コンビニで買ってきてそのまま置いてった週刊漫画とか
2つ並んだ歯ブラシとか
あちこちに散らばる皐月の抜け殻を
見て見ぬ振りしてる。
『朝起きて最初に思い出すのも寝る前最後に思い出すのも私がいい』
昔、優里菜に言われて重たいと感じた言葉
あの時は笑って誤魔化したけど
今なら優里菜の気持ちが少し分かる。
だって俺最近
思い出すどころか一日中、
皐月の事考えてる。
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