第19話

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新しい職場は 皐月の家からもそう遠くない距離。 付き合ってもないのに気持ち悪いなって自分で引く。 どうせなら心機一転引っ越すかなと まだ暑さの残る街中をフラフラ歩く。 この街に皐月を連れてきた事なんてないのに 同じチェーン店のファミレスとか コンビニとか 俺の大好きな、不機嫌な横顔を無意識に探しては 「っ、」 胸の真ん中に痛みが走る。 それでも諦めの悪い俺の頭は 今日は午後から雨だけど傘持ってったかな、とか あの角曲がったらあいつに会えるんじゃないかとか そのバスからひょっこり降りてきたりしないかなとか 自分から置いてきた癖に バカみたいな妄想しては また溜め息。
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