0人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当に? 成仏出来るの?」
「な、何だ?」
「嬉しそうですね?」
「うん!」
彼女は、変わっている。彼女は、成仏する方法を探しているのだから。
「まぁ、頼まないんですがね」
「何で!?」
「痛いですよ。たぶん」
「え~……。でも、成仏できるなら」
「成仏ではなく、消滅なのでは?」
「それは、無理かな」
「そういうことなので、お疲れ様です」
「え? ちょっ、待ちなさい!」
後ろから掛かる僧侶的な人の制止の声を無視して、歩きだす。
「このまま放っておくと、大変な事になりますぞ!」
「はいはい」
「何故、その霊に肩入れする!?」
その問いに、仕方がないので立ち止まる。顔だけ僧侶的な人に向けて、目を細めた。
「独りは寂しいと、泣くもので」
「は?」
「さようなら」
今度こそ、家へ向かって公園を出た。
「ねぇ、」
「何ですか?」
「本当に私が成仏する方法、探してくれるの?」
「勿論ですよ」
「ふーん?」
あの僧侶的な人か言っていた“大変な事”とはいったい何なのか。彼女が、悪霊にでもなって、呪いで僕が死ぬとか?
まぁ、それでも僕は構いませんけどね。彼女とずっと一緒にいられるなら。
「何笑ってるの?」
「いえ、何でも」
こんな事を思い始めている僕は、既に呪われているのかもしれません。
最初のコメントを投稿しよう!