彼女について

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 しかし、1人、また1人と、彼女にぶつかっては、通り抜けていく。その光景に、目を細めた。 「ねぇ、公園に行きましょう」 「へ? 急にどうしたの?」 「人に酔いました」 「普段引きこもってるからー」 「うるさい」  人に聞こえない程度の音量で、こそこそと喋る。  彼女は、不服そうにしながらも、了承して僕の後ろに着いてきた。 「休日なのに、人が全然いなーい!」 「ここは、穴場なんですよ」 「へぇー?」 「読書には最適です」 「まさか、本読む気!?」 「その“まさか”です」 「ひ~ま~!」 「はいはい」  公園のベンチに腰掛け本を開いた僕に、彼女は諦めたのか、大人しく隣に腰掛けた。  心地の良い風が通り抜ける、長閑な昼下がり。最高ですね。 「そこのお人」  なんて、思った瞬間にこれですか。
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