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少し薄汚れた外観に反し、意外と綺麗な校舎の中。
やはり多少の汚れはあるも、現役で使われているかのような、むしろ生活感を感じる。
ほら、廊下を走る子がいて、先生も怒ってるし……。
ん?
確か、すでに使われてないはずで、誰もいないはずだよね?
なぜに人!?
慌てて周囲を見回すと、他にもたくさんの人で溢れかえっていた。
こ、これは、ゆ、幽霊というやつですか!?
恐れをなした私は、ゆっくりと後退りして、校舎の外に出る。
そして、外の景色に目を丸くした。
見慣れた新校舎はなく、だだっ広い畑が広がり、小さい子から高校生ぐらいの子が、畑仕事に勤しんでいて。
これは、いったい……。
思ったのもつかの間。
突然、背後から肩を掴まれる。
「お前、見ない顔だな?どこから来た?」
驚いて振り向けば、熊のように大きな男の人が立っていて。
反射的に逃げようとするも、すぐに腕を掴まれて万事休す。
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!
私、皆輝学園の新聞部のもので、学校新聞のネタに使える……」
「皆輝学園?聞いたことないぞ!?」
「ひぃぃ!」
何が何やらさっぱりだけど、とにかく謝ってみれば、もともと怖そうな顔だったのがさらに怖くなって、もう悲鳴をあげるしかなくて。
「怪しい奴だな。とりあえず来い!」
「や、いやぁ!離して!誰か助けて!」
そのまま連れて行かれそうになり、周囲に助けを求める。
通常、こういう場合に助けが来ることは稀だけど、今回は奇跡が起きた。
「なんだなんだ、文左衛門?
人さらいかぁ~?」
周りにいた子供達が寄ってきて、あれやこれやとチャチャを入れる。
……そういえば、ここはたくさんの人がいる、旧校舎の真っ正面だった。
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