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土がむき出しの薄暗い空間。
天然の洞窟のようなものではなくて、人工的に掘られたものみたい。
「大丈夫か?」
え?と見ると、文左衛門の顔がすぐ目の前にある。
「わ、わ、わー!」
奇声を発しながら慌てて距離をとろうとするも、そもそもが狭い空間。
すぐに背中に壁がぶつかる。
「そ、そんなに怖いんだろか」
ガックリと項垂れる文左衛門の姿に、さすがに悪いことをしたと謝る。
「ご、ごめんなさい。ちょっといきなりだったから驚いて。
ねぇ、ところで質問なんだけど、今はいつ?」
なんとなく想像はついているけれど、かねてよりの疑問を聞いてみる。
「はぁ?おかしな質問するやつだな。
今は昭和十九年の八月だ」
……やっぱりね。
どこでどういうことになったのか、私はタイムスリップしたようね。
と、なると、戻るための方法を考えないとだけど、さてどうすればいいのか。
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