4人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだか眠くなってきたな」
「ま、待って!寝たら死んじゃうから!」
「生きても地獄だ。
それもいいかも……」
文左衛門の瞼が少しずつ閉じていく。
周りの子達も同じようす。
かくいう、私だってちょっと危ない。
起きていられるのは、『生きて帰る』と、強く思っているからに他ならない。
なにか、なにか目を覚まさせる事は……。
辺りを見渡して、ふと目に入ったのは、文左衛門が「見るな」と懇願していた小説。
本棚からそれを取り出すと、文左衛門の目の前に持っていく。
「起きなさいよ!起きないと、大声でこれを朗読するわよ!?」
それでも、文左衛門の瞼が開く事はなくて。
万事休す。
そう思った瞬間、暗い防空壕に明かりがさす。
「お~い、大丈夫だったか?」
その声とともに、防空壕は爆発した。
最初のコメントを投稿しよう!