第二章【美食研究会】

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 それが僕の復讐だ。  御崎ちゃんの笑顔に私は感動した。    勝手に涙がこぼれて止まらない。  頑張ったんだね、御崎ちゃん。 「お、おい。なんで泣いてるんだ」 「だ、だって……御崎ちゃん、えらいよぉ……」  くじけて辛くなって。  それでも色んな人から色んなことを教えてもらって。  こうして私の師匠になったんだね。  私も負けてられない。  だって、美食研究会の部長だもん。 「わかった。わかったから落ち着け。話を元に戻そう。キミはこの話を聞いて仁神に対して思うことはないか? やるべきことは見つかったか?」  握られた私の両肩が揺らされる。  うー。頭がぐらぐらするよ。  御崎ちゃん、力強い……。  でも、そっか。   御崎ちゃんはこうやって前に進めているけど、仁神さんは気にしちゃってるんだ。  このままじゃ、駄目なんだ。 「私ね、仁神さんのこと見てすぐにわかったんだ。仁神さん、絶対に料理が大好きだって。だから、料理をする資格がないっていうのを聞いたとき、変だって思った」 「だから、どうするんだ?」 「伝えるしかないんだよ。料理はみんなを笑顔にするって。食べてる人だけじゃなくて、作ってる人だって幸せになるんだって。だから、雑誌の取材なんて軽く乗り越えちゃうぐらい美味しいもの作る!」 「炊飯器に栄養ドリンクや青汁を入れて飯を炊いた奴に言われても、説得力が皆無だな」 「んなっ!? ちょ、ちょっと、なんで師匠がそれ知ってるの!?」 「僕が誰の兄をやってると思ってるんだ?」 「か、かきちゃんめ……!! ゆるすまじ!!」  ハンカチがあったら噛みしめたくなるぐらいの怒りを声に出してから、貰ったポンジュースを一気飲みした。  うん、いい味してるなぁ!! 
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