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親友と呼んでくれたのに、こういった仕打ちをする。
御崎嘉菊はそういう男である。
もっとも、自分で「性格悪いのが俺の長所」と言っているぐらいなので仕方がないのだが。
弟が駄目ならば兄だ。
御崎美鶴に相談をしてみよう。
メッセージを入力して送信。
内容としては『肉、魚介類、野菜、卵。どの料理を桜庭に作らせるべきか』といったものだが、
『さかな』
ものの数秒もせずに返信が来た。
変換せず平仮名三文字のメッセージが画面に表示される。
『なぜかというとしゅるいがほうふだからだ』
『にくさかなやさいたまご。おおくいえるのはさかなとやさい』
『ただし、ぶらんどやひんしゅはのぞく』
ブランドを除外した状態でそれぞれの素材を思い浮かべると、一番多くアイデアが浮かぶものは魚介類か野菜だろう。
肉は牛、豚、鳥、山羊、羊、鹿、猪、兎。
卵は魚卵を除くと鶏卵とアヒルの卵ぐらいだろうか。
『りょうりのしゅるいもほうふであじもたしゅたよう』
焼き魚と生魚の違いか。
あとは燻製や干物といったところだろう。
確かに魚ほど味が大きく変わるものはない。
流石は御崎美鶴だ。
『感謝する』
『どういたしまして。じゃあ、おおとりとはなすからはなしはここまで』
御崎美鶴に感謝の気持ちを送ると、鳳かざみと話がしたいという想いをぶつけられた。
よほど好きなのだな。
惚れた腫れたに疎い俺でもわかるぐらいに。
そういった気持ちを持っている彼を応援したい気持ちはあるな。
文字を目で追いながら笑っていると、
『鳳。じつは嘉菊から沼津の水族館のチケットを貰ったのだけれど、もし予定が空いてたら二人で行かないかな? チケットは二つしかないからみんなには内緒にしてほしい。返事はいつでもいい、待ってる』
俺のところにデートの誘いが届いた。
先程の全部平仮名とは打って変わって、真面目な長文である。
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