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『仁神さん』
ベッドで仰向けになってスマホからメッセージを送る。
『今日はごめんなさいね。ところで何か用?』
『うん。あのね……』
本当は「仁神さんのこと聞いたよ」って伝えたかった。
でも、きっと言っちゃいけないことだから、あえて言わない。
その代わり、自分の気持ちを伝えたいんだ!
『美食研究会に入りませんか!』
『嫌』
『返信早っ!』
「返信早っ!?」
自分で書いた文字が思わず声に出てしまった。
やっぱり、駄目なのかな。
そりゃ、仁神さんが料理をしたくないって気持ちはなんとなくわかる。
でもね……御崎ちゃんは前に進んでるんだよ。
自分がやりたい気持ちで動いてるんだよ。
なのに、仁神さんは辛い思いを背負ったまま。
そんなの友達として絶対に見過ごせないよ!!
大切な人に笑ってほしい。
そういう気持ちをもつことは当たり前のことなんだ。
私は、絶対に間違えてない。
『あのね、仁神さん』
『絶対、部員にするからね!!』
必殺! 二回連続投稿で思いを叫ぶ。
色んなことを言っちゃいけない今。
色んな思いがぐちゃぐちゃな私が伝えられることは、たったこれだけ。
だけど、それでもいい。
どんなに転んだって、どんなに凹んだって、やりたいことを目指すことは誰だってできるんだ。
それを証明する。
そうしたら、きっと仁神さんもわかってくれるよね?
『私を驚かせる料理でも作れたら、考えなくもないわ』
『本当!?』
『考えるだけならタダだし』
むむむ……これ、かきちゃんみたいな屁理屈だ。
考えた結果ダメっていうことを言うつもりだよね!
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