第二章【美食研究会】

20/22
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/207ページ
 ――●――●――●―― 『仁神さん』  ベッドで仰向けになってスマホからメッセージを送る。 『今日はごめんなさいね。ところで何か用?』 『うん。あのね……』    本当は「仁神さんのこと聞いたよ」って伝えたかった。  でも、きっと言っちゃいけないことだから、あえて言わない。  その代わり、自分の気持ちを伝えたいんだ! 『美食研究会に入りませんか!』 『嫌』 『返信早っ!』 「返信早っ!?」  自分で書いた文字が思わず声に出てしまった。  やっぱり、駄目なのかな。    そりゃ、仁神さんが料理をしたくないって気持ちはなんとなくわかる。  でもね……御崎ちゃんは前に進んでるんだよ。  自分がやりたい気持ちで動いてるんだよ。  なのに、仁神さんは辛い思いを背負ったまま。  そんなの友達として絶対に見過ごせないよ!!  大切な人に笑ってほしい。  そういう気持ちをもつことは当たり前のことなんだ。  私は、絶対に間違えてない。 『あのね、仁神さん』 『絶対、部員にするからね!!』  必殺! 二回連続投稿で思いを叫ぶ。  色んなことを言っちゃいけない今。  色んな思いがぐちゃぐちゃな私が伝えられることは、たったこれだけ。  だけど、それでもいい。  どんなに転んだって、どんなに凹んだって、やりたいことを目指すことは誰だってできるんだ。  それを証明する。  そうしたら、きっと仁神さんもわかってくれるよね?    『私を驚かせる料理でも作れたら、考えなくもないわ』 『本当!?』 『考えるだけならタダだし』  むむむ……これ、かきちゃんみたいな屁理屈だ。  考えた結果ダメっていうことを言うつもりだよね!
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!