第二章【美食研究会】

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 ふと、そういう風に思ってしまった。  でも……だけどね、こうも思うんだ。  向かい風を追い風に変えてやるぐらいの勢いで頑張らないと、つかめないものがあるんだって。  だから、私は心の中で誓う。  仁神さん。絶対に助けるからね!!  友達ひとり笑わせられないままじゃ、私の夢は叶えられない。  ケータイをぎゅっと握る手が汗ばむのを感じながら、私は目指すべき夢をもう一回認識した。 『ただ……なんにも助言をしないのも可哀想ね。だから面白い料理を作るヒントを教えてあげる』 『え?』 『もったいない。これは、私が見つけた答えのひとつだから、軽く聞き流す程度に聞いておいて』 『え? どういう意味?』 『どんな食材も使い様って意味。じゃあ、私は寝るから』  もったいない。  どんな食材も使い様かぁ。  うーん、それって結構難しいよね。  湯田さんならなんて言うだろう。  でも、湯田さんのアドレス知らないんだよなあ。  かきちゃんにはブロックされてるし、鳳さんは私とドングリの背比べだから聞くと迷惑かけちゃいそうだし。  だから、本当は御崎ちゃんに色々聞きたいんだけど、きっと鳳さんと楽しい話をしてると思う。  かきちゃんは沖縄と香川と静岡県に出張に行ってる。  御崎ちゃんと鳳さんを将来的に結婚させようと企んでいるかきちゃんは、色んな業者さんと交渉するついでにデートスポットとかを探すはずだ。  例えば御崎ちゃんに「ちゅらうみ水族館のチケット二つ取ったから夫婦水入らずで行ってきな」みたいなことを言って、お土産を用意してるはず。  そして、御崎ちゃんは素直に鳳さんを誘っているに違いない!  私にはバストアップマッサージとかいって胸を揉んだり、お前が将来的に安産できるようにケツを撫でてやるーとかいうセクハラ攻撃しかしないのに!!  私だっておこぼれ欲しいよ!! 行きたいよ沖縄!! 海水浴!!
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