第二章【美食研究会】

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 季節は初夏。  六月の暑さを海の楽しさで追い払いたい!  こうなったら、かきちゃんには合宿をもちかけて、楽しいイベントを考えてもらうしかない。  水族館行きたい! 美味しいもの食べたい!  水族館といえば魚!!  ……魚かぁ。  もうじき夏バテする季節だからガツガツとお肉を食べるより、さっぱりとした魚が食べたいなあ。  お刺身とかカルパッチョは、ぐったりする夏に元気をくれるんだ。  きっと御崎ちゃん兄弟に頼んだら『大トロ! 伊勢海老! アワビ!』なんて高級食材を持ってきそうだから、頼みにくいけど。  うーん、晩御飯はちゃんと七時に食べたのに……。  無性にイカソーメンが欲しくなってきちゃった。 「お母さん、明日はイカソーメン食べたい!」 「丁度良かった。日和がお風呂に入っている間に嘉菊君から烏賊が届いてたわよ。最高の烏賊を食べて元気をだしてくださいだって」  自分の部屋から大声を出すと、予想外の返事がきた。  かきちゃん……私の考えを呼んでたなぁ。  なんか掌の上で回されてるみたいで悔しい。 「あと、宿題はちゃんとしなさいですって。本当に嘉菊君は日和に甘々ね! 将来は嘉菊君みたいな子と付き合いなさいね」 「な、なん! なに言ってるの!? かきちゃんはそういうのじゃないの! お母さんが思ってるより、ずっと変なんだからね!」  愛してるぜとか言いながらプロレス技かけてくるし。  すっごく意地悪だもん。  でも、なんだろうなあ。  変だけど信頼はできるというか、安心するというか。  なんだか複雑な気持ちだなあ。 「……うーん」  この気持ちがどういう感覚かはわからない。  でも、なんだろうな。嫌じゃないんだ。  かきちゃん……明日は学校来てくれるかな?  いつになったら会えるんだろう。
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