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第三章【かっこいい】
【嘉菊の旅路】
さて、俺は佐賀県にいる。
元々は行く予定などなかったんだが、それには深いわけがある。
「嘉菊ーーーー!! 会いたかったわ!!」
ホテルフキハラの佐賀支店(サウスガーデンが正式名称か?)に寄ってほしいと、元カノの親父に電話で頼まれたからだ。
流石に客の電話を着信拒否するわけにはいかず、万が一のこともあるだろうと想定すると無視するわけにもいかず、渋々受話器を上げると。
『うちの娘に会ってやってくれ。旅費は私が出す』
と言われた。
ホテルのフロントに入ると黒服の奴らに案内され、最上階のビップルームに案内された瞬間、扉から吹原家の愛娘である元カノが飛び出してきたわけだ。
胸元がガバガバなパジャマがエロい。
あー、これ絶対誘ってんなぁ。
畜生。密着するたびに、やわらかそうな金髪からシャンプーの匂いがしやがる。
えっろ。ヤバい、胸元がスカスカすぎて中身が見えそうえっろ!!
日和の乳もなかなかいい感じだが、やっぱルリの巨乳は最高だぜ!!
「つーか、お前……なんで佐賀県なんだよ」
「嘉菊のことだからカトルフィッシュを買いに行ったのかなーって」
「ああ、そんな季節だよな。日和に郵送したよ、呼子の烏賊。だが残念。俺が商談に行ったのは沖縄のパイナップル農家でした!」
「もう、嘉菊は食べ物じゃなくてこっちに興味を持ちなさい! ほら、たわわなフルーツなら目の前にあるでしょ?」
ぐいぐいっと胸を押し当ててくるルリ。
人間とは恐ろしいもので、死にかけると生殖本能が強くなるらしい。
つまり、満身創痍な現在の俺は身体中に媚薬を塗られている状態。
つーか、こいつ生徒会だよな。
風紀乱してるんじゃねーよバカ!
「さ、まずは一緒にお風呂に入りましょう。二人でバスタイムなんてプライマリースクール以来かしら。あ、私のことならいつでも襲っていいからね? 子供の名前、どうしようかしら~」
「馬鹿離せ! 明日は香川のチョウザメ見るんだよ!!」
俺の元カノは一筋縄ではいかないようだ。
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