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第五章【TO YOU】
【弟さんと私】
美食研究会の部室には御崎嘉菊さんがいた。
私自身、どうして同年代の男子をさん付けで呼んでるのかわからなくなる。
理由を探すとすれば、弟さんって大人っぽいんだよね。
御崎君と違って等身大じゃないというか……。
「おう、姉ちゃん」
「弟さん!? どうしたのぐったりして!!」
「修二郎にやられた。あいつ、武闘派の名家出身だって聞いてたが、まさかここまで強いとは思わなかった」
三吉野君はうちのクラスにいなかった。
と、いうことは事件が起きたのはお隣さんということになるよね。
隣のクラスはうちのクラスよりもアットホームな雰囲気なのかな?
喧嘩なんてしたら、すぐに先生に止められると思うんだけど、
「からかったらな……くすぐられたんだ」
しかも攻撃方法が地味!
なのに弟さんの顔は真っ青!
「ヤバい。反撃が全部受け流されて、一方的にくすぐられたんだ。アイツ、人間じゃない」
見た目はぼーっとしてそうだけど、体育の時は凄いもんね。
バスケの授業なんて、中須賀君がブロックして御崎君が的確なパスを回した瞬間に三吉野君の3ポイントシュートが決まっちゃうから五分で決着ついちゃうし。
「体育とかも凄いからなぁ……三吉野君」
「ま、そういうわけで修二郎には気を付けな。あと、鞍替えとかすんなよ?」
「鞍替え?」
「あんたには美鶴と結婚してもらう必要がある。高校になって色んな女をリサーチしてきたが、姉ちゃん以上に美鶴と相性抜群の奴はひとりだけだ」
相性抜群っていえば中須賀君かな?
でも、あの関係って主従関係に近いような気がするからちょっと違うような気もするなあ。
「ちなみに、これから来る女も美鶴とは合わないと思うからフォローよろしく頼むぜ」
そう言うと弟さんはテーブルに突っ伏してしまった。
いったい、誰が来るんだろう。
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