(30)砂時計

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「そうか・・・なら土曜日の件、頼んだぞ。栗原」 「承知しました。桐生社長。バイト代は弾んで下さいよ」 「ああ」 栗原は設楽のコーヒーを一気に飲み干して社長室を出た。 「その盗聴器で何を訊くんですか?社長」 「何でもいいだろ・・・」 俺は袋の中に戻してソファを立ち上がり、ブリーフケースにしまい込んだ。 「奥様の同窓会をそれで盗聴するんですか?」 設楽は俺のやるコトを見透かしていた。 「別にいいだろ・・・」 俺は椅子に腰を下ろし、デスクに置かれた資料に目を通した。 「・・・行って欲しくないんなら、ハッキリそう言えばいいと思います」 「俺は別に行って欲しくないと思ってない」 「じゃ何で盗聴するんですか?」 「・・・」 「奥様に告白した白石家の御曹司の臨也様が気になるんですね・・・」 「だ、誰から訊いたんだ??」 「ヤッキーから訊きました・・・」 「康人のヤツ…余計なコトを」
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