(30)砂時計

7/12

929人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
「上手くいってるのか思っていたが・・・」 トーマは盛大な溜息を吐いた。 「留奈夫人とラブホでお泊まりした時点で、トーマ社長も教育係失格。二人にアドバイスできる立場にはありませんからね・・・」 栗原に一番痛い所を突かれたトーマは黙り込んでしまう。 「・・・捺・・・バレた時は自分で後始末しろ」 トーマはそれだけ言い捨てて、リビングを出て行った。 「うるさい人間が居なくなりましたね。それで、ハッキリと聞こえるでしょう」 「ああ~」 設楽やトーマの言う通り『行くな』と言えばいいコトだ。 俺は盗聴して何を訊きたいんだろうか・・・ ぼんやりとした俺に栗原がコーヒーを淹れてくれた。 「『建設業界の悪魔』と言われた貴方にも恐れるコトがあるんですね」 「栗原?」 栗原は設楽と同じように俺の本心を見抜いていた。 遠い未来のコトよりも今を考えろと設楽は言った。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

929人が本棚に入れています
本棚に追加