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「上手くいってるのか思っていたが・・・」
トーマは盛大な溜息を吐いた。
「留奈夫人とラブホでお泊まりした時点で、トーマ社長も教育係失格。二人にアドバイスできる立場にはありませんからね・・・」
栗原に一番痛い所を突かれたトーマは黙り込んでしまう。
「・・・捺・・・バレた時は自分で後始末しろ」
トーマはそれだけ言い捨てて、リビングを出て行った。
「うるさい人間が居なくなりましたね。それで、ハッキリと聞こえるでしょう」
「ああ~」
設楽やトーマの言う通り『行くな』と言えばいいコトだ。
俺は盗聴して何を訊きたいんだろうか・・・
ぼんやりとした俺に栗原がコーヒーを淹れてくれた。
「『建設業界の悪魔』と言われた貴方にも恐れるコトがあるんですね」
「栗原?」
栗原は設楽と同じように俺の本心を見抜いていた。
遠い未来のコトよりも今を考えろと設楽は言った。
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