(30)砂時計

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俺は本当に濱部邸を追い出されてしまった。 俺は数メートル先の白石邸までBMWを走らせる。 夕映えの空に輝く金色の凝った装飾の門扉と門柱のてっぺんに輝く鳳凰。 俺は車から降りて、インターホンはやけくそに押す。 こんなコトになるんなら、最初から『行くな』と言えば良かったと後悔。 今の俺は超カッコ悪い・・・ リン達に笑われるのがオチだ。 「どなた様ですか?」 インターホン越しに聞える物腰の柔らかい女性の声。 使用人だろう。 「突然で申し訳ありません。桐生建設の桐生捺と申します。襖の張り替えに来ました!!」 俺の咄嗟に出た言葉がそれだったが、使用人は門扉を開けてくれた。 俺は運転席に戻って、そのままアクセルを踏んで、邸宅の中に入った。 さすがは名家。 濱部邸も敷地面積が広く、なかなか邸宅に辿り着けない。綺麗に手入れされた森を突き進むコト約15分で邸宅のエントランスに到着した。
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