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「藤ヶ谷はあんたの心が見えないと俺に悩み相談して来た」
「・・・」
リンが私に近づいてカーディガンに付けていたブローチを外す。
「このブローチには盗聴器が仕込まれているらしいよ」
「そんなコトまで・・・トーマがバラしたのか?」
「まあね…後は二人で話をして…邪魔者は消えるから・・・」
リンは捺さんにブローチを返して踵を返す。
「盗聴器って・・・どう言うコトですか?捺さん」
「ここでは何だし…部屋で話をしよう」
「今すぐ、ここで説明してください」
「部屋で全部話するから・・・それでいいだろ?」
「良くありません!!」
私は狼狽する捺さんを詰りつける。
「俺はお前を縛る資格のない男だ。でも、本当はお前に・・・『同窓会』なんて行って欲しくなかったんだ」
「捺・・・さん?」
「俺達は確かに永遠の愛を誓い合った夫婦だ。でも、それは互いの命がある限りの話。
俺の父さんと母さんの愛は…母さんの死で終わってしまった」
捺さんの瞳が潤んでいた。
「俺は怖いんだ。堪らなく怖い。俺はお前をマジで愛してる。その留奈を想うキモチの深さが俺を尻込みさせる。本心を隠してしまう」
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