(31)刹那まで・・・

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「藤ヶ谷はあんたの心が見えないと俺に悩み相談して来た」 「・・・」 リンが私に近づいてカーディガンに付けていたブローチを外す。 「このブローチには盗聴器が仕込まれているらしいよ」 「そんなコトまで・・・トーマがバラしたのか?」 「まあね…後は二人で話をして…邪魔者は消えるから・・・」 リンは捺さんにブローチを返して踵を返す。 「盗聴器って・・・どう言うコトですか?捺さん」 「ここでは何だし…部屋で話をしよう」 「今すぐ、ここで説明してください」 「部屋で全部話するから・・・それでいいだろ?」 「良くありません!!」 私は狼狽する捺さんを詰りつける。 「俺はお前を縛る資格のない男だ。でも、本当はお前に・・・『同窓会』なんて行って欲しくなかったんだ」 「捺・・・さん?」 「俺達は確かに永遠の愛を誓い合った夫婦だ。でも、それは互いの命がある限りの話。 俺の父さんと母さんの愛は…母さんの死で終わってしまった」 捺さんの瞳が潤んでいた。 「俺は怖いんだ。堪らなく怖い。俺はお前をマジで愛してる。その留奈を想うキモチの深さが俺を尻込みさせる。本心を隠してしまう」
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