(32)社長と秘書

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「おはようございます、社長に奥様」 いつものポーカーフェイスで挨拶をする設楽。 「おはようございます。設楽さん」 俺よりも先に留奈が設楽に挨拶をした。 設楽やトーマ達のおかげで俺と留奈の仲も一層深まり、蜜な夜を過ごした。 「はい」 留奈はソファに置いていたブリーフケースを俺に渡した。 「サンキュー、留奈」 こんなにも後ろ髪を引かれるのは初めてだ。 このまま、留奈を一人したくない。 俺は留奈をジッと見つめる。 留奈も俺を見つめ返した。 互いに別れを惜しんでいる。 ――――――ベットに戻って留奈を抱きたい。 「社長、遅れますよ」 設楽が俺達の間に水を差した。そして、俺の腕を掴んで玄関先へと強制的引き摺り出す。 「設楽…俺は社長だぞ!!秘書が社長を乱暴に扱っていいと思ってんのか?」
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