(32)社長と秘書

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俺は留奈を残して、会社に向かう。 「色々と気を遣わせて悪かったな・・・設楽」 「洋貴に訊いたんですか?」 「ああ」 そう言えば、栗原は妙なコトを言っていたのを思い出した。 設楽は誰かに頼まれて、俺と留奈を離婚させようとしていたとか。 しかし、設楽は俺達を離婚させる処か、すれ違っていた心を重ねてくれた。 「設楽、栗原からもう一つ訊いたんだが・・・お前は誰かに頼まれて俺と留奈の仲を裂こうしていたんだろ?」 「昔の洋貴はこんなにも口の軽い男ではなかったはずなのに・・・」 設楽は、ハンドルを切りながら口惜しそうに呟いた。 「誰に頼まれたんだ?」 「貴方の知っている人ですよ」 「俺の知り合い?誰なんだ?」 俺は神妙に運転席に座る設楽を見る。
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