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「江上ホールディングスの江上会長です」
「江上会長??」
我が社は江上ホーディングスの移転した本社ビルを施工中。
予定では竣工は来月の中旬。
「江上会長の長女・江上亜子さんのコトはご存知ですよね」
江上亜子(エガミアコ)23歳。
彼女は俺の元カノ。
亜子とは1年前に終わった。
亜子は俺と別れた後、カナダに語学留学して、最近帰国していたと江上会長から訊いた。
「俺の元カノだ」
「会長曰く、亜子様は社長に未練があるそうですよ」
「はぁ?・・・大体アイツは…男たらしで、俺以外にも男が居たぞ」
別れ時だってあっさりしていた。
「男たらしの女性を本気にさせるなんて…社長も罪な人だ」
「何で、お前と江上会長が繋がっているんだ?」
「移転した本社ビルの施工の請負で、会長と共に何度かお会いしましたから・・・」
「俺と留奈を離婚させて、お前には何のメリットがある?
江上会長が提示した見返りに目が眩んだのか??」
「その通りです」
設楽は迷いなく、言い切った。清々するほどに。
「俺を大物政治家の秘書官にしてくれると」
「設楽お前…政治家になりたいのか?」
「俺は『桐生建設』一生勤める気は有りません」
「…そうだったのか…お前が政界にね・・・」
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