第18話  猿も木から落ちる

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「大丈夫かな? 田宮くん」  隣であかねが心配している。  実は、あたしも少しそれが心配だった。  去年、試合に負けたときは、まだ1年生というのもあったし、地区予選でいいところまで行っていたから、それほどのダメージはない様子だったけれど。  レギュラーを取ってからというもの、あたしのことを放ったらかすほど練習ばかりしていたから、さすがに1回戦で負けとなると、落ち込むかもしれない。 「鈴、」 「ん?」 「毒舌、封印しなよね」  あかねが釘をさす。まさかあたしだって、落ち込んでいる人に対して手厳しいこと言ったりできないよ…。いくら翔太郎にMっ気があって、ちょっとSなあたしが好きなんだとしても。 「わかってるよ」 「いや、言いそうだからさ、鈴は。最後のファウルは何よ、あれ、とか絶対言っちゃ駄目だからね。田宮くんだって、わざとじゃないんだから。必死に取りに行った結果なんだから」
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