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…って、あれ?
あたし、寝てた?
走ったから、確かに疲れていたけど。
「ちょっと、鈴、起きなさいよ」
「え? あかね?」
中学のとき同じクラスだった田代あかねの声が頭の上でした。
ん? あたし、高校に来たんだよね?
ここは、中学?
一瞬、わからなくなった。
「鈴ってば、す~ずちゃん」
「あれれ? 何で、あかねがいるの?」
確かあかねは試験に落ちたはず。
「あたしは補欠合格したの。失礼しちゃうわね」
あかねが耳元で囁いた。
「それにしてもびっくりしたよ、入学式終わって教室来たら、鈴が寝てるんだもん」
「同じクラス?」
あたしの胸に安堵が広がった。
「嬉しい?」
屈託ない友の顔が目の前にある。
「チョー嬉しい!」
あたしはあかねに飛びつきたいくらい嬉しかった。
あたしは、自分で言うのも何だけど、あまり人の輪に入っていけないタイプだ。
正直、入学式に遅刻してくるようなあたしに友だちが出来るだろうか、と内心不安だった。
心配が一気に解消され、あたしはバッチリ目が覚めた。
神様に感謝したい気持ちだった。
…のだけれど。
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