第1話  急がば回れ

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 背筋がゾワッとした。  うわ~、と思い、自分の顔がいま、嫌な臭いでも嗅いだあとのような、しかめ面になってしまったのが自分でもわかった。  もろ、嫌いなタイプだった。  そう、あたしは顔に自信のある男が好きじゃないのだ。  ムカつくから睨んでやった。  そのときの、あたしの心の中の台詞は「何、見てんだよ」だった。  言葉に出せないから、声で凄めなかったけれど。    するとイケメンはあたしに向かって笑った。  は?   ますますムカついた。  ぜったいこいつ、あたしのことバカにしてるでしょ。  どうせ、入学式に寝坊するなんてバカな女だ、とでも思ってんでしょ。  あたしは、メラメラと腹の底からムカついたのだ。
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