第1話  急がば回れ

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「は? せっかくの高校生活、エンジョイしなくてどうするの」 「あたしはいい。家のこととか忙しいし、色恋してる暇なんかないから」 「もったいな~い。鈴は、ちゃんとしたら結構可愛いのに。髪だってボサボサじゃん」  そういや蘭と追いかけっこして、家を出るのが遅れて走って、犬に追いかけられてまた走って、朝、きちんとブラッシングしたはずだったけれど、乱れまくっているんだろう。  まあ、いいや、と思った。別に好きな男子がいるわけじゃあるまいし。 「いいの、あかねがいてくれればそれでいい」 「じゃあ、あたしに彼氏ができたらひとりぼっちの時間増えちゃうよ」 「邪魔してやる」 「何よ、やめてよ。あたしはぜったい彼氏つくるんだから」 「帰ろ、あかね」  と、あかねを促したとき、隣の席にわさわさと人だかりができていた。  隣の席のイケメンの周りに女の子たちが群がっている。  イケメンの方も、まんざらでもないって顔だ。
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