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「まあ、しょうがねえよな。それぞれ家庭には事情があるし。オヤジが生きてたら違ったんだろうけど」
家の事情を抱えている者同士なんだな、とあらためてあたしは思った。
妹とも離れている分、うちみたいなチビたちでもきょうだいと一緒にいるのは羨ましいのかもしれない。
「ごめんね、ママがいるときも呼べればいいんだけど、翔太郎の方が気を遣うと思って」
「あははは、おまえのママは厳しいからな」
「じゃあ、明日はママの休みだから、ごはん持って行くね」
「おう、サンキュ、美味かった。明日も期待してる」
そう言って、満面の笑みを残して翔太郎は帰って行く。
「姉ちゃん、俺たちにお構いなく、お別れのチューすればいいのに」
まただ。
「このませガキが」
「姉ちゃん、怖い~」
「このヤロー」
辰也を追いかけながら、こいつ少し背が伸びたな、と感じた。
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