第17話  急(せ)いては事を仕損じる

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 あいつの食事面のサポートも、今日を入れてあと2回になった。  あさってにはお母さんが帰ってくる。  あたしは、トートバッグに大きなタッパーを入れて、K駅北口であいつの帰りを待っていた。  改札付近は混雑するから、いつも少し離れた柱のところがあたしの定位置だ。  私鉄のこの駅は、そんなに大きな駅ではないけれど、何気なく改札を見ていると、思ったよりも多くの人々がこの駅を利用しているのがわかる。  人々の足音が重なった独特のリズムの中、あたしは柱にもたれてあいつを待っていた。  今日のメニューはちょっと渋い。  いわしの煮つけと、野菜のかき揚げ、それからふろふき大根。  ご飯は別のタッパーに詰めた。  何せあいつはよく食べるから、うちの炊飯器じゃ足りなくて、2回も炊かなくちゃならない。  大会が終わったら米を持ってくるように言いなさい、とママがブツブツ言っていた。
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