第17話  急(せ)いては事を仕損じる

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 あいつに寄ってくる女の子たちがフラれるのを見て、平気でいられるほど、それが当然って思えるほど、あたしは神経図太くない。  かといって、あいつを他の女の子に取られるとか、そういうことは考えたくもない。  翔太郎と目が合った。  あいつは困った顔をしている。  あたしは踵(きびす)を返した。  どうしてだろう。あの子が一生懸命、翔太郎のために料理を作ったから?  わからない。  急ぎ足で家の方向に歩く。 「おい、鈴」  翔太郎が呼ぶ声がしたので、あたしは走り出した。  どうして、翔太郎の彼女はあたしなのに、あたしが逃げなきゃいけないの?  でも、どうしたらいいのかあたしにはわからない。 「待てよ、鈴」  あたしは人の波を縫うように走った。  翔太郎の家とは反対方向。あたしの家の方角へ。  同じ駅を利用しているのに、正反対の場所にある家へ。
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