第17話  急(せ)いては事を仕損じる

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「あたしだけの、男に、なれ!」  翔太郎の目が柔和になった。 「それでいい、鈴」  ふわり、と翔太郎の手があたしの頭を撫でた。  そして片方のくちびるの端を上げ、フ、と短く笑った。 「しびれるな。一等の誘い文句だよそれ。望むところだ」  あたしの手を取った翔太郎が、あたしの家とは反対方向へ歩き出す。 「来いよ、俺ン家」  夜、親の留守、彼氏の家。  それがどういうことを意味するのか、わからないほど17歳は子供じゃない。  早歩き。それでももどかしいほど、お互いの心は熱く高ぶっていたと思う。  心臓がドキドキ高鳴って、わけのわからない焦りめいたものがあたしたちを包んだ。
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