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「あたしだけの、男に、なれ!」
翔太郎の目が柔和になった。
「それでいい、鈴」
ふわり、と翔太郎の手があたしの頭を撫でた。
そして片方のくちびるの端を上げ、フ、と短く笑った。
「しびれるな。一等の誘い文句だよそれ。望むところだ」
あたしの手を取った翔太郎が、あたしの家とは反対方向へ歩き出す。
「来いよ、俺ン家」
夜、親の留守、彼氏の家。
それがどういうことを意味するのか、わからないほど17歳は子供じゃない。
早歩き。それでももどかしいほど、お互いの心は熱く高ぶっていたと思う。
心臓がドキドキ高鳴って、わけのわからない焦りめいたものがあたしたちを包んだ。
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