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「ちょっと~、いるんでしょ~、翔ちゃ~ん」
玄関のドアが、ドンドンと叩かれる。
翔太郎は身を起こして部屋の電気をつけ、長いため息をついた。
恨めしそうな目であたしを見下ろす。
「ごめん、起きて」
あたしは起き上がり、見繕いをして髪を直した。
「これ持って、居間に行っててくれる?」
廊下に放っぽったトートバッグを持って、言われたとおりあたしは廊下奥の居間へ行く。入り口でスイッチを探し、電気をつけた。
翔太郎が玄関の扉を開けた。
「もう、何やってんのよ、すぐに開けなさい」
たくさんの荷物とともに、翔太郎のお母さんが居間に入ってきた。
「あれ? 鈴ちゃん、来てたの」
「お邪魔してます」
あたしはバツが悪く、お母さんの顔をまともに見ることができなかった。
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