206人が本棚に入れています
本棚に追加
「久しぶりね」
「はあ…」
「何で今日なんだよ」
翔太郎が母親を睨んだ。
「それがね、店で仕入れのトラブルがあって、予定が変わったのよ」
「連絡くらい入れろよ」
「だって~、海外からじゃメール料金もバカ高いかな~って。ただでさえ店とやり取りしてたから、もう料金が心配で心配で。まあ、私の留守中に彼女連れ込むくらいのことはすると思ってたけどね~」
うちのママとはやっぱりぜんぜん違う。叱るとかでもなく、楽しそうに笑っている。
「うるせえな、何もしてねえよ。メシ持ってきてもらったんだ」
「あ、そうですそうです」
とあたしはトートバッグからタッパーを取り出した。
「へえ、保健の実習してたんじゃなかったの?」
低く、抑揚なく、だがそれでいて、からかうように翔太郎のお母さんが訊いた。
「保健の、実習…」
ストレートじゃない表現。まあ、そのままを親の口から言われるよりいいのかなァ…? と、あたしは首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!