第17話  急(せ)いては事を仕損じる

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「久しぶりね」 「はあ…」 「何で今日なんだよ」  翔太郎が母親を睨んだ。 「それがね、店で仕入れのトラブルがあって、予定が変わったのよ」 「連絡くらい入れろよ」 「だって~、海外からじゃメール料金もバカ高いかな~って。ただでさえ店とやり取りしてたから、もう料金が心配で心配で。まあ、私の留守中に彼女連れ込むくらいのことはすると思ってたけどね~」  うちのママとはやっぱりぜんぜん違う。叱るとかでもなく、楽しそうに笑っている。 「うるせえな、何もしてねえよ。メシ持ってきてもらったんだ」 「あ、そうですそうです」  とあたしはトートバッグからタッパーを取り出した。 「へえ、保健の実習してたんじゃなかったの?」  低く、抑揚なく、だがそれでいて、からかうように翔太郎のお母さんが訊いた。 「保健の、実習…」  ストレートじゃない表現。まあ、そのままを親の口から言われるよりいいのかなァ…? と、あたしは首を傾げた。
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