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「あ、鈴ちゃん衣服乱れてる~」
いきなりあたしの胸元を指差され、あたしは慌ててブラウスを押さえた。
「引っかかった、引~っかかった。やっぱりね。すぐ出てこなかったから~」
「母ちゃん!」
翔太郎が怒鳴った。
まあ、実際、そういうことをやりかけていたんだけど…。
「冗談よ。疲れたからあたしも鈴ちゃんの手料理いただこうかしら」
タッパーを置いたテーブルの椅子に腰掛ける。
「何が疲れただよ、すこぶる元気じゃねえか。時差ボケとかあんだろ」
「飛行機の中で寝たし、大丈夫よ。どれどれ、何作ってくれたのかな」
お母さんがタッパーの蓋を開けた。
「いわし? 大根? こりゃまた随分渋い好みね」
「あははは、健康面を考えまして」
「ちょうどいいわ、こういう日本食が食べたかったから」
お母さんは嬉しそうに手を叩いた。
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