第17話  急(せ)いては事を仕損じる

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「あ、鈴ちゃん衣服乱れてる~」  いきなりあたしの胸元を指差され、あたしは慌ててブラウスを押さえた。 「引っかかった、引~っかかった。やっぱりね。すぐ出てこなかったから~」 「母ちゃん!」  翔太郎が怒鳴った。  まあ、実際、そういうことをやりかけていたんだけど…。 「冗談よ。疲れたからあたしも鈴ちゃんの手料理いただこうかしら」  タッパーを置いたテーブルの椅子に腰掛ける。 「何が疲れただよ、すこぶる元気じゃねえか。時差ボケとかあんだろ」 「飛行機の中で寝たし、大丈夫よ。どれどれ、何作ってくれたのかな」  お母さんがタッパーの蓋を開けた。 「いわし? 大根? こりゃまた随分渋い好みね」 「あははは、健康面を考えまして」 「ちょうどいいわ、こういう日本食が食べたかったから」  お母さんは嬉しそうに手を叩いた。
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