第17話  急(せ)いては事を仕損じる

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「お兄様、起きて下さい、お兄様」  辰也が揺り動かしたが、翔太郎は起きなかった。 「あら、寝ちゃったの? 困ったわ。一度寝るとなかなか起きないのよ、この子」  小学生か。  明日は土曜日。 「このままお母さんも一緒に泊まって行ったら?」  う~、ナイスな提案、ママ最高!    翔太郎、はじめて我が家にお泊り。  かと思いきや。 「こら! バカ息子、起きんかい!」  お母さんは翔太郎を蹴っ飛ばし、無理矢理起こすと、 「すみませんね、やっぱり夜中に目覚めて、親のいるところでスリルな味を体験されると、さすがにマズいんで。だっておたくの鈴ちゃん、とっても魅力的なんですもの、ホホホホホ」  と、寝ぼける翔太郎を引きずって帰って行った。  あたしはママから睨まれる。 「健全なおつきあいです!」  断言。だって本当にそうなんだもの。  あたしたち、まだそういうこと、1回しかけたけど、実際していない…。
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