第18話  猿も木から落ちる

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 バスケットボール、インターハイ地区予選。  いきなり強豪校のY高と当たるって、今年のキャプテン、クジ運が悪過ぎる。  それでも頑張っていたと思う。  毎日毎日、体育館で汗を流して、へろへろに疲れるまで練習に明け暮れて、この大会にかけてきたのに。  前半戦、第2クォーター終了時点で20点の開き。挽回できるのだろうか。  あいつは必死だった。  少しでも点差を縮めたくて狙った3ポイントシュートもいくつか決めた。  そのたびにこちらの応援席からは相変わらずの黄色い声。  例のマネージャーの姿が見えないと思ったら、翔太郎から手厳しく言われたのが堪えたのか、フラれたのが堪えたのか、大会がはじまる寸前に辞めてしまったとのことだった。 「キャー、カッコいい、田宮く~ん」 「ああ、でも彼女いるって」 「ええ、そうなの~」 「まあ、いない方が不思議だよね」  そんな会話が後ろの方からちらほら。  そのたびに、隣同士座ったあかねと顔を見合わせる。
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