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「悪りぃ、いま、おまえと話したくないから」
右手を上げて、去って行こうとする。あたしは翔太郎のカバンを引っ張った。
「は? 何、それ。いつまで引きずってんのよ。もう3日もそんな感じで。いい加減にしてよ」
翔太郎は面倒くさそうな顔をあたしに向けた。
「うるせえな。おまえ何もスポーツしてねえんだから、わかるかよ、おまえに俺の気持ちが」
やっぱり、様子が違う。いつもならあたしが何か文句を言っても、逆に笑ったりするのに。
「ちょっと、何よ、それ。終わってしまったことをいつまでも、うだうだ引きずってたって仕方ないでしょ、悔しかったら、1人でも練習したらどうなの」
「うるせえな。顧問か? 口出しすんなよ」
「顧問じゃない。あたしはあんたの彼女だ! 間違えんなバカ!」
翔太郎は、ああ、と自分のおでこの当たりに片手を当てた。
「たまにはおまえのズケズケを聞きたくねえことだってあるんだよ、俺にも」
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