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「先生…」
中川先生はバスケ部の顧問である。
「廊下で派手に喧嘩してんじゃねえぞ、おまえら。2人ともこっちに来い!」
逆らえない威圧感に押され、あたしたちは誰もいない体育館に連れて来られる。
「ちょっと待ってろ」
先生は体育用具室に入り、バスケットボールを1つ持ってきた。
「田宮、俺からボールを奪ってみろ」
「は?」
翔太郎がびっくりした様子で中川先生を見つめている。
「中学、高校、大学と、ずっとバスケやってたからな、まだまだ、おまえらには負けねえ。俺を本気で追い詰めてみろ」
翔太郎が躊躇する。
「だって、先生、試験前は部活禁止だって…」
「見つかったら、あとで教頭から、俺が文句を言われりゃ済むことだろ」
ほら、どうした、と翔太郎を誘う。
翔太郎はブレザーを脱ぎ、あたしに寄越した。
2人の「勝負?」がはじまる。
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