第18話  猿も木から落ちる

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「先生…」  中川先生はバスケ部の顧問である。 「廊下で派手に喧嘩してんじゃねえぞ、おまえら。2人ともこっちに来い!」  逆らえない威圧感に押され、あたしたちは誰もいない体育館に連れて来られる。 「ちょっと待ってろ」  先生は体育用具室に入り、バスケットボールを1つ持ってきた。 「田宮、俺からボールを奪ってみろ」 「は?」  翔太郎がびっくりした様子で中川先生を見つめている。 「中学、高校、大学と、ずっとバスケやってたからな、まだまだ、おまえらには負けねえ。俺を本気で追い詰めてみろ」  翔太郎が躊躇する。 「だって、先生、試験前は部活禁止だって…」 「見つかったら、あとで教頭から、俺が文句を言われりゃ済むことだろ」  ほら、どうした、と翔太郎を誘う。  翔太郎はブレザーを脱ぎ、あたしに寄越した。  2人の「勝負?」がはじまる。
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