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…カッコいい。カッコいいよ、翔太郎。
いつの間にか、あたしの身も心も、あんたでいっぱいだよ。どうしてくれる?
あたしも同じだよ。あたしにとっても、パワーの源なのかもしれないね、あんたが。
それが依存なのかは、あたしにはわからないけれど。言いたい人には、言わせておけばいい。
第1クォーター終了。時間がスローモーションに感じられたのは単なる錯覚で、実際はあっという間の10分だった。電光石火で時間が過ぎたことに、びっくりしてしまうほど。
17対12で、負けている。
インターバル中、Y高の選手たちはまだ余裕があるのに、うちのチームはすでに全力を出していて、みんな肩で息をしている。
そして、第2クォーターがはじまる。早さを駆使するという以外、どういう作戦を練って来たのか、バスケ入門書をちょっとかじったくらいのあたしにわかるわけもなく、ただただボールを目で追いかけるのが精一杯だ。
中川っちは相変わらず、ベンチでボス猿みたくふんぞり返っている。
コートの端から端まで、走り回る。キュ、キュ、という、床に靴底が擦られる音は、もう耳に慣れ親しんでいる。
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