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「あかね、あたし、あいつとつきあって、よかった」
心底そう思ったから、素直に言葉にした。
「え? 何をいまさら言ってるの?」
と、あかねがびっくりする。
「そうだね。いまさら、だね。多分、はじめから好きだったんだと思う。あいつのこと」
「わかってたよ。それもいまさらだね」
あかねが苦笑いする。
「うん。カッコいいとこも、カッコ悪いとこも、全部。あいつ、とにかく真っ直ぐでさ」
「だから、いまさらなことばかり言ってどうしたの?」
「100日も口利かないなんて、あたしが無理」
とうとう口から飛び出した本音。
あかねはゲラゲラ笑った。
「だから、それ撤回しなよ。2人とも無理なんだって。だってあんたたち、お互いじゃないと駄目なことくらい、傍からでもわかるよ」
そう。お互いじゃないと、駄目なんだ。あたしはあいつのもので、あいつはあたしのもの。
いま、あたしに出来ることはひとつ。あいつを信じること。
あたしは言い切った。
「撤回しない。だって絶対に勝つから。あたし、信じる」
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