第29話  念力岩をも透す

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「あかね、あたし、あいつとつきあって、よかった」  心底そう思ったから、素直に言葉にした。 「え? 何をいまさら言ってるの?」  と、あかねがびっくりする。 「そうだね。いまさら、だね。多分、はじめから好きだったんだと思う。あいつのこと」 「わかってたよ。それもいまさらだね」  あかねが苦笑いする。 「うん。カッコいいとこも、カッコ悪いとこも、全部。あいつ、とにかく真っ直ぐでさ」 「だから、いまさらなことばかり言ってどうしたの?」 「100日も口利かないなんて、あたしが無理」  とうとう口から飛び出した本音。  あかねはゲラゲラ笑った。 「だから、それ撤回しなよ。2人とも無理なんだって。だってあんたたち、お互いじゃないと駄目なことくらい、傍からでもわかるよ」  そう。お互いじゃないと、駄目なんだ。あたしはあいつのもので、あいつはあたしのもの。  いま、あたしに出来ることはひとつ。あいつを信じること。  あたしは言い切った。 「撤回しない。だって絶対に勝つから。あたし、信じる」
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