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あかねはあたしの脇腹を軽く肘で突いた。
「何?」
「いいもんでしょ、恋って」
あかねは、
「さ、後半戦がはじまるよ」
とあたしの肩をポンと叩いて笑った。
ハーフタイムから選手たちが戻ってきて、コートに再び熱気が蘇る。
また、早さを主体にした攻撃が再開された。練習でどんなに鍛えていても、試合本番というものは、緊張の分だけ余計に体力を消耗するようで、第3クォーターの5分が経過したところで、我が校の選手たちに顕著な疲れが見えてくる。
翔太郎も例外ではなかった。ポジション的にコートを行ったり来たりする頻度が多い。肩でハアハア息をしている。
ユウくんが、思い切った位置からの3ポイントシュートも何本か放ったのだけれど、全部が全部決められるわけもなく、リバウンドして相手のチームにボールが渡る。
けれど、ディフェンス力は前の2試合よりも確実にアップしているようで、背の高さで勝る相手にも、決して劣ってはいなかった。
みんなが、食らいついている。
第3クォーター終了。59対48
11点の差は、あと10分では正直きついと思われた。
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