第30話(最終話) 雨が降ろうが槍が降ろうが  

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 あと5点取れば勝てる。  ここへ来て、相手チームがタイムアウトを取った。  控えの選手たちが、ベンチに戻ってきた選手たちにスポーツドリンクやタオルを渡す。翔太郎はタオルを頭から被って、ベンチに座った。中川っちが何かを話しかけ、二言三言、翔太郎が答えている。  最後の指示を与えている中川っち。選手たちがひとつひとつに頷き、最後に円陣を組んだ。 「っっっっしゃああああああ!」  選手たちの気合が、応援席にも届く。  相手チームのスローインからゲームが再開された。時間稼ぎしてるの? と思ってしまうほど、相手の選手たちの動きが緩慢に見えたような気がしたとき。  一瞬の出来事だった。相手のパスをカットしに飛び込んだジンくんがまたコート上に転がった。  ボールは? ボールはどこ? あたしは一瞬、ボールを見失った。  岡島くんがドリブルでインに切り込んだけれど、ディフェンスに阻まれ、斜めにいたゴリランくんにパス。ゴリランくんはここまでおもにディフェンスで活躍していたのだけれど。
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