第30話(最終話) 雨が降ろうが槍が降ろうが  

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 うっそ~。ダンクシュートとかゴールに手が届くのがいまさらながら信じられない~。  翔太郎にダンクは無理~。って、いまの心の声は絶対彼の前で口に出してはいけないと肝に銘じる。  あたしは、こう言ってはとっても失礼だけれど、高校に入学してはじめて、ゴリランくん…いや、ちゃんと名前を言おう。黒川由紀也くんのことをカッコいいと思った。  あと3点。残り時間は4分を切っている。  ここで相手のスローインからすごい勢いでインサイドに切り込まれ、2点を失った。  点差は再び4点に。あと5点取るには…。  ユウくんがスローインから翔太郎にパス。翔太郎がドリブルして3ポイントラインに近づく間に、ジンくんがちょろちょろして相手をけん制。相手が、まるで忍者のようなジンくんの動きに惑わされているうちに、翔太郎はユウくんにパス。  3ポイントシュートを思い切って打つユウくん。  ああ! 入らない~。リバウンドを押し込んだのは、またしてもゴリラン…いや、もう名前をちゃんと言わなくちゃ。黒川由紀也くん。  ゴールが壊れないのが不思議だった。何キロあるんだろう、彼の体重。
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