第1話  急がば回れ

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 新しい制服。  真新しいブレザーにしわひとつないスカート。  なんか、蘭とのさっきの追いかけっこのせいで、すでにくたびれたように感じる。    と、そんなことを考えている余裕はすでにない。  公園の中を突っ切った方が、駅までの近道だ。  いい閃きだと思った。  けれど…。  それが裏目に出るなんて思ってもみなかった。  公園にあるブランコの端にリードを引っかけて、一匹の犬がいた。  わりと大きい犬だった。黒と茶色の、耳がピンと立った犬。多分、雑種だろう。  飼い主と思われる人はベンチで寝ていた。  あたしは油断した。  リードが繋がれてあるから、大丈夫だと思って公園内を勢いよく突っ切ろうとしたのだ。  ワンワン!  いきなり犬があたしに向かって吠えた。  やめて~、吠えないで~。  犬は好きだけど吠えられると怖い。  あたしは猛スピードで走った。  100メートル十三秒台。まあ、足だけは速いと思う。  ところが…。  後ろにもの凄い気配を感じた。  なんと、繋がれていたはずの犬があたしを追いかけてくるのだ。  嫌~!  制服かじってない?  駄目~。来ないで!
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