誇りをもって 旗をたてよ

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 オニールは今日も、明かりとりのたて穴から「空」を見ていた。 「オニール」  そこに、凜とした、透きとおるような声がひびいた。  幼なじみのシンシヤが声を走ってきた。  オニールもシンシヤも、今年で16歳になる。  シンシヤは、端正な顔立ちと美しい黒髪で、同世代の男たちに人気があった。 「暗闇にさく、一輪の花」と、うわさされていた。  いつもシンシヤの気をひこうと、誰かが話しかけていた。   それどころか、大人たちも、シンシヤが「だれと結婚するのだろう」とうわさしあっていた。  そんなシンシヤが、いくら幼なじみとはいえオニールに話しかけるのを、みんな不思議におもっていた。  ときには、お節介な大人が、シンシヤにやめるように忠告することさえあるほどだった。
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