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「今日も、本当。きれいな青ね」
明かりとりのたて穴からさす日だまりの中で、シンシヤはオニールの横に腰をおろした。
そして「空」を見あげた。
オニールも「空」を見あげていた。
ただ、だまってシンシヤの言葉にうなずいた。
「みんな馬鹿ばっかり。何で、この青がわからないの」
シンシヤは「空」を見ると、いつもこの台詞を口にするのだった。
「こんな小さな穴から青を見てるだけだから、おもしろくないんだよ」
シンシヤがいつものようにイライラしているので、オニールはなだめるように声をかけた。
「オニール。あんたまで、あんな馬鹿たちといっしょのこと言わないで。いつも、だれとだれがつきあっているとか、結婚するとか、そんなことばかり言ってる方がおもしろくないわよ」
シンシヤに怒鳴られて、オニールはどうしていいのかわからなくなった。
オニールは曖昧に笑顔をつくって、下をむいた。
しばらく、シンシヤはだまって「空」を見あげていた。
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