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杖に体重を預け、小汚ない着物を着て。
はだけた胸の辺りはガリガリになった肋骨が浮き彫りになっている。
しかし眼球には力があり、耄碌爺。
とはいえない迫力があった
「どぉだ、死にそうになった感想は...」
ヒヒヒ、と不気味な笑い方をする。
「な、なんだお前」
あまりに汚い風格。
病院の関係者ではなさそうだし、入院患者だろうか。
「なんだ、とは...なんだ。死にてぇと思ったのはお前さんじゃあないか」
ニヤリ、と気味の悪い笑顔を浮かべるとゆっくり近付いてくる。
「お、お前は誰だって言ってるんだ」
声が震える。死んだような目をしていて、それでいて平気で人を殺しそうな目に恐怖を感じた。
そして目の前の老人は言った。
「あたしは死神だよ」
「.....し、死神?!死神って、そんなもん信じるかよ」
「まあ、あたしはお前が信じようが信じまいが死神だからどうでも良いが...」
病院で死神とは縁起でもない。
嫌がらせに悪意しか感じられない。
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